昭和22年5月2日までに死亡した故人は旧民法が適用されます。
旧民法では、家の継続を第一義としていたため、管理者たる戸主が死亡等した場合に、次に家を引き継ぐ者へ相続させる手続きとして家督相続がありました。
家督相続は、家名相続であり、身分相続であるため、前戸主に属する一切の権利義務が包括的に承継されることになりました。
したがって、家産が戸主権に随伴して相続され、さらに祖先祭祀も当然に相続されます。
家督相続は、家を存続させることを目的に、戸主の権利義務を次なる戸主に相続させる手法であるから、次なる戸主の順位も法定されており、必然的に嫡出長男とされます。
なお、家督相続の開始原因は死亡に限らず、「戸主の交代」、「戸主権の喪失」もあります。
家督相続概要
家督相続の開始原因
家督相続は、戸主の法律上の地位の承継です。
したがって、戸主の地位においてのみ発生し、戸主以外の家族にはその概念はありません。
家督相続は、戸主の死亡に限らず、戸主が統率者として望ましくなくなった場合にも発生し、家督相続の開始原因である「戸主権の喪失」は以下のとおりです。
【旧法964条 家督相続の開始原因(戸主権の喪失)】
死亡相続・・・戸主の死亡(失踪宣告含む)
生前相続・・・戸主の隠居
戸主の国籍喪失
戸主の婚姻・縁組の取り消しによる去家
女戸主の入夫婚姻、入夫戸主の絶縁
したがって、戸主の地位においてのみ発生し、戸主以外の家族にはその概念はありません。
家督相続は、戸主の死亡に限らず、戸主が統率者として望ましくなくなった場合にも発生し、家督相続の開始原因である「戸主権の喪失」は以下のとおりです。
【旧法964条 家督相続の開始原因(戸主権の喪失)】
死亡相続・・・戸主の死亡(失踪宣告含む)
生前相続・・・戸主の隠居
戸主の国籍喪失
戸主の婚姻・縁組の取り消しによる去家
女戸主の入夫婚姻、入夫戸主の絶縁
家督相続人の順位
家督相続人には、その趣旨から次の事項が要請されています。
これらは法定されており、子らにおいて協議の余地はありませんが、家を存続させるという要請も働くので例外も認めています。
①家督相続人が一人であること。
※統率者であるから、必然的に一人であることが要請される。
②原則として子であること。
※家長父制によるものであるが、子以外を否定するものではない。
③原則として同じ家にあるものであること。
※同じ家以外の者を否定するものではない。
これらは法定されており、子らにおいて協議の余地はありませんが、家を存続させるという要請も働くので例外も認めています。
①家督相続人が一人であること。
※統率者であるから、必然的に一人であることが要請される。
②原則として子であること。
※家長父制によるものであるが、子以外を否定するものではない。
③原則として同じ家にあるものであること。
※同じ家以外の者を否定するものではない。
遺産相続との違い
戸主は家産以外に財産をもつことはないが、家族は特有の財産を持つことが許されていました。そこで、家族が財産をもって死亡した場合には、現行民法のような遺産相続の手続きが開始されるものとしていました。ただ、そもそも戸主以外の家族が財産を所有する例が少なかったので、あまり例はありません。
遺産相続と家督相続には次のような差異があります。
①遺産相続は家族の死亡によってのみ開始される。
②遺産相続では、同じ家にあるかどうかは問題にしない。
③遺産相続では、同順位にあるものはすべて遺産相続人となり家督相続のように一人に限定されない。
遺産相続と家督相続には次のような差異があります。
①遺産相続は家族の死亡によってのみ開始される。
②遺産相続では、同じ家にあるかどうかは問題にしない。
③遺産相続では、同順位にあるものはすべて遺産相続人となり家督相続のように一人に限定されない。